Hurly-Burly 5 【完】
ふ、不始末だわ!
ちょび髭をナル君に盗人された。
「ヒヨリンにはこんなの似合わねぇからな!」
ちょっぴり、ピンク色の頬のナル君。
あたしにはナル君のような可愛さが足りない!?
と、と、と言うことは、ナル君食べごろ!?
「だ、駄目だ!ナル君逃げるんだ!食べられてしまう!」
「えっ!?」
「可愛いナル君を狙うハンターが茂みに隠れてるやもしれん!」
キョロキョロと挙動不審になるとナル君が困った顔をした。
「ヒヨリンを狙ってるのか!?」
「いやいや、ナル君が標的だよ!」
この子はよく勘違いをしますな。
そういうところがまた可愛いのだが、ナル君がキョロキョロしてる。
なんて、大きなお目々を愛らしく向けてくるのかしら!!
「ヒヨリンを狙うヤツが居たらぶっ殺す!」
「えっ!!」
ナル君、可愛い顔して過激なことを!!
お母ちゃんはとってもビックリしたよ。
「ヒヨリンは誰にも渡さねぇからな!」
な、な、何と!?
「ほー、ナルちゃんゾッコンじゃねぇーの?」
伊織君父がナル君をからかうようにケラケラ笑ってる。
何を傍観者のごとく笑ってるのかしら?
あなたが変なことを言うからこんなことになったんではないか!
「なっ、そんなこと言ってねぇ!」
ナル君が顔をボンっと赤く染める。
まさに親子だなと思った瞬間だった。
伊織君といい、伊織君父といい。
親子は似るんだな!
「仲良いのですね?」
みんな親御さんに反抗期を迎えてるのかと思いきや、
隣のちぃ君と稜さんといい、伊織君と伊織君父といい
とても反抗期の親子とは思えない。
まず、ちぃ君と稜さんは2人とものんびり屋らしく、
呑気にのほほんとお茶を啜ってる!
伊織君と伊織君父はナル君をからかうのがお好きなようだ。
ピタリと止まった瞬間に流れる沈黙と言ったら、
重すぎて地蔵を背負ってるような気分だった。