Hurly-Burly 5 【完】
すると、純玲さんが少し眉毛を下げた。
「千治もあの子たちもきっと怖いのね。
いつか、日和ちゃんに嫌われてしまうのかと
思うと居てもたっても居られないんじゃないかしら?」
「えっ!?」
「怖がられることが何よりも怖いのはきっとこの家の
せいってことが大きな理由になると思うけど・・・・」
「あ、あたしは怖いだなんて思ったことないです。
極道とか言われても正直良く分からないせいかもしれ
ないですが、家柄とか関係なく好きですよ。
嫌いになったりしませんからね!」
だけど、初めて会ったその時から怖くないかとしきりに
聞いてきたのはやっぱり嫌な目にでも遭ったからなのか?
「ふふっ、日和ちゃんは育ちがいいのかしら?」
どうなんだろうか!?
決して悪いわけではないと思う。
「もう少し早く出会いたかったわ。」
「は、はい!?」
「日和ちゃん、話しやすいから。」
「それは感激です!!あたしのようなもので良ければ
いつでもお相手しますので。」
「日和ちゃん・・・・あの子たちのことお願いね?」
純玲さんは多分分かっていたのだろう。
これから、少しずつ彼らの内面を知ることになる。
それでも、曲がった人間にならないように。
「お、お任せ下さい!」
傷ついたりしてまた殻にこもらないように。
出来ることならそっと見守ってあげてくれないか?
純玲さんのような身も心も美しい人に頼まれた
のであれば力強く頷こう。
「あの、少し聞いてもいいですか?」
だけど、さっきの言いぶりからしても極道だって
ことを知られて傷ついたのだろうか?
ちぃ君は家柄を気にしながらずっと過ごして
きたのだとしたらそれはそれできっと辛かっただろう。
「何かしら?」
純玲さんが首を傾げる仕草はちぃ君が首を傾げる
仕草に良く似ていて温かい気持ちになった。
「千治君はこのお家を継がれるのでしょうか?」
マイペースなちぃ君のことだから自分が納得
しないことを承諾するとは思えないけど、
この家に入ってからちぃ君って存在もみんなも
遠くに感じてしまうのはあたしの気のせいだったことにして欲しい。