Hurly-Burly 5 【完】

稜さん、やっぱり組長に見えないよ。

さっきだって、和服モデルの人かと思ったもんよ。

「千治はね、末っ子だと思ってたの。

千治を産んで時間が経ってから夏希を生んだから。」

ちぃ君、一人っ子なのか!?

末っ子ってことは兄姉が居るのか!!

「そうですよね、夏君は1歳にもなってなさそうでしたが?」

あの小ささといいまだ喋ることも出来ない

感じから見ると名前の由来も含めて今年の

夏に生まれたように覗える。

「夏希は今年の7月に生んだ子なのよ。」

やっぱりだ!あたしの推理力はレベル2に上がった。

「だから、稜さん余計に気になったんだと思うわ。」

だとしても、やっぱり一人っ子なのかな?

若って呼ばれていたし、家のこと知られたくなかった

というのは一体どんな理由が隠されているんだ!?

な、謎が増えていくばかりで追求出来てない。

「その内、ナル君や慶詩君、京君にユウヤ君って

千治の周りに友達が増えていくたびに嬉しかったわ。」

親心を知らずに育ってそうだ。

ちぃ君、鈍感なところありそうだもん。

※↑自分が言うなと作者はツッコミたい。

「心配せずともちぃ君は自分のペースを乱さない人

なんだと思うのです。優しい人だってあたしは知ってます。

だからこそ、慕われるのでしょうから純玲さんと稜さん

の育て方がきっと良かったんでしょうね!」

のびのびしたところを除けばの話だが。

「日和ちゃんは千治のことよく見てくれてるのね?」

「い、委員長ですから周りの把握をせねばなりません!」

「それでも、嬉しいわ、あの子たちのこともちゃんと

分かってあげられる子が居るって心強いもの。」

黄色の水仙の香りが微かに香る。

「あたしだけじゃないですよ。分かっている人には

十分なほど良さは伝わってくるものですから。」

サユだって、マコ君だって田中だって、佐藤君だって、

相沢ティーチャーだって、村田ティーチャーだって、

兄ちゃんだって、菜南子先生だってみんなみんな分かってる。

きっと卒業する頃になったらもっとたくさんの人で溢れてる。

可能性は最大限に信じるものなんだよ。

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