Hurly-Burly 5 【完】

それを見て少し安心して池を眺めた。

そういえば、馨君には女の子の幼なじみも居たんだよね?

「少し事情があってこの街を離れてるだけだよ。」

馨君が空中を見上げながらポツリ呟いた。

「さ、寂しくはないのですか?」

人とのお別れを経験してる身としては気になった。

仲の良いお友達が遠くへ行ってしまう。

「事情が事情なだけに仕方ないことだったからな。」

ユウヤが石ころを足で転がす。

「余程の事情なのですね。是非、お会いしたかったです!」

一体、この個性的なメンバーを前にどんな方だったのだろうか?

類は友を呼ぶというから絶対イケメンであることは必須だろう。

「日和ちゃん、若干クセのあるヤツだよ?」

馨君が困った顔をする。

「それでも、仲良くなりたいです!」

いつか会えるといいな!!

「みんなのお友達だからあたしも仲良くしてもらいたいですっ!」

仲良くしてくれるかな?

あたしの妄想に付き合ってくれとは言わない。

「ヒヨリン居るから寂しくないよ。」

ナル君、あたし絶対に寂しい思いさせませんからね!

「も、もちろんです!あたしがいる限りは絶対に

寂しいなんて思わせませんからね。」

池の中を気持ちよく泳いでいる鯉に見とれた。

すると岩場から亀がノソノソと浮かぶ。

「日和ちゃんってたまにすごいこと言うよね。」

「はい?」

「友達たくさん出来たんじゃない?」

馨君が穏やかに微笑むのを横目で見た。

「そ、そうかもしれないです!人生で一番

お友達が出来たと年表に書き記さなければ!!」

「ヒヨリン、そんなもん書いてんのか!?」

ユウヤ、あたしの1年を振り返れる素晴らしい

企画ではないかと思っている。

「あわっ、そう言えば、言いそびれてしまいましたが

明けましておめでとうございます。今年もまたお騒がせ

しますがよろしくお願いします。」

今年こそは素敵レディーになってやるわ。

それに、春にはもう引き返せない。

< 67 / 415 >

この作品をシェア

pagetop