Hurly-Burly 5 【完】
それを見て少し安心して池を眺めた。
そういえば、馨君には女の子の幼なじみも居たんだよね?
「少し事情があってこの街を離れてるだけだよ。」
馨君が空中を見上げながらポツリ呟いた。
「さ、寂しくはないのですか?」
人とのお別れを経験してる身としては気になった。
仲の良いお友達が遠くへ行ってしまう。
「事情が事情なだけに仕方ないことだったからな。」
ユウヤが石ころを足で転がす。
「余程の事情なのですね。是非、お会いしたかったです!」
一体、この個性的なメンバーを前にどんな方だったのだろうか?
類は友を呼ぶというから絶対イケメンであることは必須だろう。
「日和ちゃん、若干クセのあるヤツだよ?」
馨君が困った顔をする。
「それでも、仲良くなりたいです!」
いつか会えるといいな!!
「みんなのお友達だからあたしも仲良くしてもらいたいですっ!」
仲良くしてくれるかな?
あたしの妄想に付き合ってくれとは言わない。
「ヒヨリン居るから寂しくないよ。」
ナル君、あたし絶対に寂しい思いさせませんからね!
「も、もちろんです!あたしがいる限りは絶対に
寂しいなんて思わせませんからね。」
池の中を気持ちよく泳いでいる鯉に見とれた。
すると岩場から亀がノソノソと浮かぶ。
「日和ちゃんってたまにすごいこと言うよね。」
「はい?」
「友達たくさん出来たんじゃない?」
馨君が穏やかに微笑むのを横目で見た。
「そ、そうかもしれないです!人生で一番
お友達が出来たと年表に書き記さなければ!!」
「ヒヨリン、そんなもん書いてんのか!?」
ユウヤ、あたしの1年を振り返れる素晴らしい
企画ではないかと思っている。
「あわっ、そう言えば、言いそびれてしまいましたが
明けましておめでとうございます。今年もまたお騒がせ
しますがよろしくお願いします。」
今年こそは素敵レディーになってやるわ。
それに、春にはもう引き返せない。