I am … 【完】



優樹を妊娠したとき、毎回検診でエコー写真を貰えるのが楽しみだった。



検診の度に何ミリ、何センチって医師から告げられる赤ちゃんの大きさを記憶して、



いつか大きくなった時に、見せてあげようと毎回の写真と大きさや私の体の状態をアルバムに綴じていた。




いつか…


優樹や優樹のお嫁さんに見せてあげようって…




この子にも勿論同じようにしてあげたかった。


もしもこの子が女の子だったら、将来子供を授かった時に喜んでもらえるかもしれない


もしもこの子が男の子だったら、将来お嫁さんが子供を授かった時にまだ実感のわかない命の奇跡と母親の愛情を感じてもらえるかもしれない…



だけど、今回も写真は貰えずに…私の手元にあるのは初めて受診した時の小さな小さな豆粒のような赤ちゃんの写真と肥大した私の一部の写真だけだった。



もしかして、産めないかもしれないからくれないの?


産めない子の写真を貰っても、悲しい思い出が増えるだけだから?



そう…アノトキモモラエナカッタ…




先生、赤ちゃんの写真ください。



そう言えば、もしかしたら貰えたのかもしれない。



でも、私にはそれが言えなかった。



その一言が、私にとっっては




とても



遠い一言に思えたのだ。



妊婦と病人…



明と暗に分かれるなら



私は後者なのだ……







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