キモチの欠片

昨日、あれから葵は家に帰ってもらった。

心配だから泊まるとか言ってたけど、平日だし葵の着替えもないし。
それに家でおとなしくしてたら大丈夫だと言ってようやく納得してくれた。

最後まで、あたしを一人にしておくのは心配だって言ってくれてたけどね。

そして、今朝マンションまで車で迎えに来てくれて一緒に仕事に行った。

葵の看病のお陰か、薬が効いたのか分からないけど、熱はすっかり下がり、体調は万全だ。


昨日のうちにお泊まりセットというか、大きめのバッグに必要なものを詰めておいた。

仕事が終わり、そのまま葵のマンションに行く予定だったんだけど、充電器を忘れたから一度マンションに寄ってもらうことに。


「ちょっと取ってくるね」

駐車場に車をとめドアを開けて降りようとしたら葵があたしを呼び止めた。

「待て、俺もついていく」


周囲を見回し、怪しい人がいないか確認しながら歩く。
マンションに入ると郵便受けの前に人影があった。
その人は、周りをキョロキョロと見ながらポケットから白い封筒を取り出していた。

えっ、あれって―――。
葵も気付いたのか、声をかけようとした瞬間にはもう走り出していた。


「おい、そこでなにしてるっ」

鋭い声が響く。
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