キモチの欠片

何度も深呼吸する。
葵との距離が分からなくなりそうで緊張してしまう。
とりあえず、さっさと謝ってしまおう。

「あの、昨日は行かなくてスミマセンでした」


勢いよくペコリと頭を下げた。
ベンチに座ってるから膝におでこがつくぐらい身体を曲げる。


「ゆず、顔を上げろよ。その事は気にすんな。俺も強引過ぎたと思ってたんだし、悪かったよ」

やっぱり調子が狂う。
こんなしおらしい葵なんて初めて見た。

「今までずっと避けられてたって俺もバカじゃないから気付く。ゆずの気持ちを無視して強引にあんな約束しても来るはずないと思ってたから」

そっと目を伏せる。

そりゃ誰だって気付くよね。
学生時代からあからさまな態度をとってたし。

ちょっとやり過ぎたのかなと思い、少し心が痛んだ。
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