キモチの欠片
ガラッと個室の扉が開き葵が入ってきてあたしの身体に緊張が走る。
飲み過ぎてヤバイってことは分かっていたけど、つい目の前のビールのジョッキを掴みゴクリと飲みつつ葵の動きを目で追った。
葵は特に変わった様子もなくツカツカと歩いてくる。
あたしの目の前の、最初に遠藤さんが座ってた席が空いていたのでそこに腰を下ろした。
当然のようにあたしの目の前に座る葵に驚いてゴホゴホと咳き込み、そばにあったお手拭きで口を押さえた。
「大丈夫?急に飲んだからむせたのかな」
遠藤さんが心配そうに顔を覗き込み背中を擦ってくれる。
それと同時にチッ、と前方から舌打ちが聞こえた。
なんの舌打ちよ。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」
ふぅと一息つき、落ち着きを取り戻した。