あたしたち別れましょ。
「ただいまー」
久しぶりの実家。
リビングに入るとテレビの前でお茶を飲んでまったりしているお母さんがいた。
「あら、美幸じゃない。あなたいきなりどうしたの」
「正樹と別れたから、新しい部屋見つかるまで住まわせて」
「は?別れた?」
「話は後で。先にシャワー浴びさせて」
「ちょっと、美幸!」
お母さんを無視して階段を上がる。
根掘り葉堀り聞かれるんだろうな…。
ため息を零すと自室のドアを開けた。
「なにこれ……」
あたしの部屋の物がない…。
詳しく言うとベッドとテーブルしかない。
それもどちらともあたしの物ではない。
「ちょっ、お母さん!あたしの荷物がない!なんでよ!」
「あー、あんたの部屋日当たりが良いからって遼太郎が昨日トレードしてたわよ」
「トレード!?」
だからベッドとテーブルが遼太郎のなのか!
直ぐさま隣の遼太郎の部屋を勢い良く開けた。
「…あたしの物」
と、遼太郎の残りの荷物。