あなたには音をあたしには色を



………


「じゃあさ、お前も言って? 」


「は?」


「オイラのギター、銀の針みたいに綺麗だったってさ、言ってよ」


………


……銀の針。


そう、確かに。
あれは銀の針のようだった。


研ぎ澄まされて、キラキラに。
あんなに耳によって計算されたバランスのいい音は、なかなかないだろう。

そう、まるで。
余分なものは全て削ぎ落とされて研かれた針のように。
一つ一つが、キラキラと正しさを主張していた。

その中で乱舞する、音の粒々。


………


「え? 銀の針? 知らない。もう忘れたよ」


「ずりー」



パチン

パチン


光郎はプルタブを鳴らしながら、
「ふはははっ」
と笑う。

それにつられてあたしも
「ぶは」
と笑う。


こんな調子。
あたし達二人、きっといつも。
いつまでも。

少しづつ変わりながら。
近付いては離れて近付いて。


けれどもやっぱり、憧れは変わらないのだ。
扱う「モノ」は違っても。



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