あなたには音をあたしには色を



「……そお? 絵も、すごくいいよお。楽しい」


あたしもそれに対抗して呟いてみるけれど、やっぱりこの世界に、光郎がいなくなると思うと寂しいな。

いつか、あのアトリエには光郎の姿がなくなってしまうのだ。
クリーム色のギターと共に。


あたし、光郎がいなくても頑張っていけるかな。
いつか、今よりももっといい絵を描いて。

いつか、いつか。
もっとうんと、誉めてもらえるように、光郎に。


………


「お前さ、いつかオイラがデビューしたらさ、CDのジャケットなんか描いちゃったりしてよ」


「えーー?」


「えーーじゃねえし」


「自分で描いたら? あんた、うまいんだし」


「オイラはサヨコに描いてもらいたいのおーー」


「……ハイハイ」


そんな光郎の言葉に、あたしの口元は思わず緩む。

例え。
もしそれが、叶わない夢だとしても。
遠い遠い未来だとしても。

光郎がそう言ってくれるのが嬉しい。



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