元カレはシェフ
箸で摘まれたサラダを、私の唇に当てる。
しかたなく口を開いた。舌の上でほどけていく、ポテト。
……美味しい。
「食べれたな」
優しいその言葉に、涙があふれた。その涙を基樹は指先で拭う。
「俺、毎日作るよ。舞が食べる料理。だから、安心しな。治るから」
「あなたは、ただの元カレなのに」
基樹は涙を流し続ける私にサラダを食べさせながら、微笑んだ。
「舞の病気は俺が治す」
私は、最高に美味しいそのサラダを味わう。
「だって俺は、舞のシェフだから」
彼の言葉が、美味しい料理が。
私を、病を、癒していく。
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