目印は、柘植の木
そういえば、未来の私宛に何て書いたんだっけ?
掘り進めていくうちにはっとして、思わず手を止めた。

「もう遅い」

まだカプセルには辿り着いてないのに、彼は言う。

「俺、卒業と同時に留学が決まってただろ? しばらく戻ってくるつもりなかったから、出発の前日に一人で掘り返した。あの日から、俺の返事はYesだ。今、ここにいるってことは、吉井は……?」

真っすぐに私を見つめる彼の瞳が、期待と不安で揺れている。



どうして、こんなに大切な気持ちを忘れていたのだろう。
あの夢は、二人の始まりの序奏だったのかな。

『今度会うときは、葉山くんに彼女がいても告白する!』
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