春雪
 彼と出会ったのは、美紀が隼人君と大型テーマパークへ行くことになり、それぞれ仲のいい友人を誘って一緒に遊ぼうって話しに誘われたのが発端だった。
 メンバーは美紀は私と真菜と基子。
 隼人君は彼と学君と裕也君。
 男女8人で楽しくテーマパークを回った。

 隼人君の友人は全員気さくで明るく意外と配慮深い人ばかりだった。
 女性陣も楽しいことが大好きな人ばかりだったので、すぐに意気投合し楽しく遊んだ。
 それから、このメンバーで何かと遊ぶようになった。

 8人グループが定着し、もうすぐ1年って頃、美紀に私の気持ちを気づかれた。
 しかも運悪く、気持ちを言い当てられた時、近くに隼人君もいたのだ。
 2人とも私の気持ちを喜んでくれた。

 2人の応援はいつの間にかグループに広がり、みんな私と彼をくっつけようと動き出した。
 私は彼に距離を置かれたくなくて必死に止めたのだけど、すでに遅く、彼はすぐにみんなの思惑に気づいてしまった。

 当然、私の気持ちを知った彼の反応は悪かった。
 あの時の、嫌そうに歪められた表情をすぐに思い浮かべることが出来る。
 私の事を嫌いなわけではないことはわかっていた。

 最初は嫌がっていた彼も、周りの強引な応援により折れた。
 そして周りに押し切られたような形で私たちは恋人同士になったのだ。

 恋愛感情から始まったわけではない恋人関係。
 とてもうまくいくなんて思えなかった。

 すぐに別れるだろうと思っていたが、予想に反し彼から定期的にメールを送ってくれたりデートに誘ってくれたりして、恋人関係は意外と続いていた。

 最初は周りへの義務感から関係を継続しようと努力しているのかもしれないと思ったけれど、彼が努力してくれているのだ。
 不満に思うことなんて出来ない。
 私も出来るだけ彼に不愉快な想いをさせまいと、常に彼の様子には注意していた。

 彼の信頼を裏切らないように、誠実で穏やかな関係を維持するように努力したのだ。
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