キミと、ピエロ的恋愛遊戯。
奏良の家は学校から少し離れた
そこまで古くもない雰囲気の
アパートだった。



「ちょっと汚いけど、」

手でどうぞとでも言うようなジェスチャーをしてみせた。




「お邪魔します。」


中は1DKで、女の子の部屋にしては割とシンプルな雰囲気だ。





まじまじと部屋を眺めている
俺の後ろから、
奏良の動く気配がした。



「人の部屋、そんなに見てないで座ったら?」



手にコップを二つ持ちながら、
そう促して来た。




促された通り、テーブルの前に腰をかける。





にしても驚いた。



「奏良は一人暮らしだったんだな。」



「あぁ、まあね。」






奏良の手にあったコップが
テーブルに置かれた。



「・・・・あのさ、」


おもむろに口を開く彼女。
何を聞きたいのかは
何となく想像できた。


けど、彼女が最後まで言うのを待った。


いつもだったら、途中で言葉を遮る俺なのに。





「千春は、弟くんのこと嫌いなの?」




ほら、そうやってストレートに
聞いてくる。


何にも飾らないで聞いてくる。




何となくそんな気がしたんだ。
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