雨、スズラン、少女
 
つきあいだして間もなく、男の浮気が発覚する。

男は会社にある女性のネットワークを軽視していた。

あろうことか、その相手は彼女の同期入社の女の子だった。

それを目撃され、女性社員の誰かが彼女の耳にそれを囁いた。



彼女はただ、男に事実を告げると、正座をしたまま涙を零し続けた。

二人の間に流れる重い沈黙はやがて、男の理不尽な自尊心を傷つける。

男もそれは間違いだと気づいていた。

だが、傷つけられた自尊心は、男自身を守ることだけに働いた。

 
< 11 / 27 >

この作品をシェア

pagetop