雨、スズラン、少女
 
男にはつきあっている女性がいた。

会社の後輩。

そして、今日、喧嘩をしたばかりだった。



男が彼女に近づいたのは、彼女がその同期入社の女の子の中で、一番、男性との距離の取り方が下手だったからだ。

男はそこに興味を持った。

下心がなかったとは言えない。

いや、あったんだろう。

そして、少し蔑んでいた。



あまりにも男と言うものを知らない距離感は、逆にそこに空白とも思える、緩衝地点を作り出す。

そこには女でも男でもない立場の者は容易く降りることが出来る。

男は教育担当という立場を利用した。

 
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