隣の彼の恋愛事情

「お前、俺の話ちゃんと――――」

「お仕事の話ならここで。それ以外なら何もおっしゃらなくて結構ですよ。」

机の上で仕事の準備をしながら答える。

「きちんと仕事中は下僕としてがんばりますから。でも――」

「でも?」

「でも、それ以外はごめんなさい。なんか仕事とプライベートのけじめが最近なかったですね。そこの線引きお互いきちんとしましょう。」

私がPCを見ながら話すと、

「線引きって?きちんとって?」

そう言って、私のほうを真剣なまなざしで見つめる。

(ここで逃げたらいけない。)

きちんと話ししないといつまでもダラダラこんな気持ちではだめだ。

「言葉通りです。仕事はミスしないように頑張りますね。」

二コリと作り笑いを浮かべて答えた。

「お前・・・」

アイツがなにか話そうとしたとき、席をはずしていた課長がフロアに入ってくるなり私を呼んだ。

「神崎~、第二会議室まできて。手ぶらでいいから」

(課長助かりました。)

普段面倒としか感じなかった課長の呼び出しに感謝した。
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