隣の彼の恋愛事情
secret:4アイツとチィ兄
証券会社では、よく顧客向けの資産セミナーを行う。
私の勤めている証券会社でももちろんで、会場の設営や資料の準備、接客など正直めんどうだ。

だた、今日の私はこのセミナーを楽しみにしていた。
なぜなら、チィ兄がセミナーに参加してくれるからだ。

華道の家元となると、資産運用も、もちろん行っているわけで私が証券会社勤めはじめてからは、うちの会社に口座を開設してくれていた。
長い目でみた資産運用が目的なので、そうそう関わることはないんだけど、

「たまには、紅の頑張ってる姿みて刺激をうけたいんだよ。」

なんて私の仕事への意欲をいい感じにかきたててくれる。

早希にそう言うと、
「完全に妹扱いじゃん。カワイソー」
なんて言われてしまった。


別件で、受付の業務から外されていた私は、終了時間になるころにセミナー会場に向かいチィ兄を探した。
いつもよりラフな格好のチィ兄は、おじさんばかりの会場では目立っていて、一緒に片付けに入る新人の後輩は目で完全にチィ兄を追っていた。

(やっぱり、かっこいい)

私をみつけると、ニコッと人好きのする笑顔でこちらにむかって歩いてきた。

私も全開の笑顔でチィ兄に向かって歩いて向かったが、チィ兄の視線がふと私の後ろに向かってるのに気がついた。

私がチィ兄の視線の先の人物を確認するのと、チィ兄が口を開き相手の名前を口にしたのはほぼ同時だった。

「三浦!三浦斗馬じゃないか!」

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