隣の彼の恋愛事情
「ボサボサ頭で、変なメガネかけてる人に言われたくないです。」

そう言い返すと、

「俺は、この方が楽だからわざとやってんだよ。」

言い返そうと口を開きかけた私に再度アイツは

「お前、いっちょまえにナマイキ!ナマイキ! 
そういうことは下僕としての役目をちゃんと果たしてから言え。

今、お前は俺のモノなんだから。」

たいして高くない鼻をつままれてそう言うと、エレベーターに向けて歩き始めた。

(俺のモノ――――。)

なぜかそのセリフに胸のあたりがモヤモヤする。

(何だろう、何か変?)

自分の中の変化に全く気がつくことなく、先を長い脚で颯爽と歩くアイツをパタパタと追いかけた。
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