椿ノ華



「お願い、忘れさせて」

「…椿」

「貴方で消して」


その刹那、椿の体は柔らかいベッドの上にあった。

視界を占領するのは、天井と壱の綺麗な顔。


「…葵に抱かれたって思ったら、優しく出来る自信が無いんだ」

「それでもいいわ」


頬を撫でれば、誘われる様に唇が重なって。

あの月の下での、想いを確かめ合うキスとは違う。

強く、お互いを求め合うキス。



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