椿ノ華
「態々謝りに来てくれてありがとう。
またパーティーで顔合わせる事もあるだろうし、
取引に支障が出るのもお互い本意じゃないだろ?
だから、兄貴の事は俺に任せて」
ふと、圭と目が合って。
―「大丈夫」
と、口が動いた気がした。
「ああ、すまない。邪魔したな。帰るぞ、椿」
「…はい、葵さん」
後ろ髪引かれる思いをしながらも、堪えて背を向ける。
圭の言葉の意味は分からないが、今は葵に従うしかなかった。
守る、ために。