椿ノ華



「葵さん、椿さん」


壱と似ている、だけど少し違う声。


「圭、久し振りだな」

「ああ、来てくれて嬉しいよ」

「此方こそ、お招きありがとう」


微笑んで握手を交わす二人を、無表情で見詰める。


「壱は?」

「ああ、兄貴は裏で緊張してる」

「相変わらず人前は駄目なのか」

「本当にね、いい加減慣れて欲しいよ」


困った様に苦笑して肩を竦める圭。



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