椿ノ華



「…椿…?」

「彼には…葵には、私だけなの。私が彼を裏切れば、彼はどうなるの…?」

「……」

「…あなたの事は、愛してる。嘘偽り無いわ。…だけど、私は…

葵を一人にするなんて、出来ない…!」


溢れた涙を隠す様に、しゃがみこんだ。


「…君が、僕を愛してくれているなら…僕は、どんな手を使っても君を奪う。

だから…僕を信じて、待っててくれないか」

「…返事は、出来ないわ…」


心に、迷いが生まれた。



―・・・



「葵さん、圭さん」

「ああ、椿さん。渡してくれた?」

「…はい。頑張る、だそうです」

「ありがとう。兄貴の緊張も解れたかな」



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