椿ノ華



ぎゅう、と痛い程に抱き竦められて。


「…平気よ、壱さん」


あやす様に、優しく背中を撫でる。


「私は、貴方が思ってる程弱い女じゃありません」

「……」

「罪も他の人の不幸も受け入れます。

…ありがとう。あの時返事すら出来なかった私を、想い続けてくれて」

「…ああ」


柔らかく微笑み合い、再び唇を重ねた。


「…圭がね、葵の足止めをしてくれてるんだ」

「え…?」

「俺が長話でもして足止めするから、

兄貴は椿さんに会ってこいって言われて。

本当、あいつには敵わないよ」



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