椿ノ華



「…葵さんは、仕事で出てるはず…」

「…え?」


その時だった。

かつん、と、聞き慣れた靴底の音がしたのは。


「何をしている」


凛とした低い声が、耳に届いたのは。


「…あお、い…」

「葵さん…」


抱き合ったままの二人。

言い逃れは出来ないと、そう思った。



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