椿ノ華
「…家族、か」
「家族でしょう?」
「…ああ、そうだな」
「ですから、今日はもうお風呂に入って、
ゆっくりお休みになってくださいね」
「抱かせてくれないのか?」
「駄目です。体調が良くなるまで我慢なさってください」
嘲笑うでもなく、くすくすと笑みを零す葵が珍しくて。
「いいですか?」
「ああ、分かったよ」
「じゃあ、お休みなさい。葵さん」
「ああ、お休み。椿」
穏やかなやり取りが出来た事が嬉しくて、微笑んで自室に向かう。