椿ノ華
「引越しで疲れているとは思うが…
今夜は空いているかな?」
「え?はい、空いてますけど…」
「なら良かった。
今夜、葵と会わせようと思っていたんだ」
体が、一気に緊張に強ばった。
「はは、君は分かり易いな。
まあ無愛想な奴だが危害は加えないさ」
「は、はい…」
「時間の前に、使用人が準備の手伝いをしに来る。
それまでゆっくり休んでいるといい」
「はい、分かりました…」
朗らかな笑みを浮かべ部屋を出て行った啓一郎。