椿ノ華



「…一緒に堕ちるなら、簡単な事だと思うの。

でも、もし、彼女を支えて止めようと思う勇気があるなら、

叱ってあげる事も出来ると思う」

「……」

「…何て、ね。お昼にしましょう」


桜の木と紫野に背を向け、屋敷へ歩き出す。


「…僕は…」


紫野の呟きは、聞こえなかった。







狂い咲きの桜は、人の心を惑わせて、そして散っていった。

死と、犠牲と、幸せ。



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