椿ノ華



「心臓が、かなり弱っていらっしゃいます。

薬は飲んで頂いていましたが…

きっと、激務による過労などが原因かと」

「…睡眠も食事も、疎かにしていらっしゃったから…」

「申し訳ありません椿様、私の責任でございます。

旦那様の体調管理は私の仕事ですのに…」

「…いいえ、私にも責任があります。

おかしいと気付いた時、もっと早くに休ませればよかったんです。

病気の事を知らなくたって、妻として主人を休ませる務めがあったのに」


ぎゅう、と強く手を握った。


「…ん…」

「葵さん…!」

「…平気だ。騒ぐな」

「ですが…」



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