椿ノ華



「ですから、幼少期は殆ど屋敷から出ずに過ごされました」

「……」


思わず、眠る葵の手を握り締めた。


「普通の子供のように過ごせなかったのは、

教育の為だけではなく…体の事も考えて、だったんですね」

「その通りでございます」

「…葵さん…」

どうして、私には隠していたんだろう。

「…言いにくい事ですが」


医師へと視線を向ける。


「…もう、あまり永くないかと」

「…え…?!」



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