椿ノ華
星野 麗羅(ほしの れいら)との初対面は、
屋敷に引っ越して一週間程経った頃。
珍しく大広間で、葵と二人でティータイムをしていた時だった。
バン!と大きな音を立てて扉が開いたかと思えば、彼女が居たのだ。
「葵さん!!」と大声で云い駆け寄る彼女に圧倒された。
鬱陶しそうにしながら相手をしている葵が何処か面白くて。
彼女が帰った後、苛立ちのせいか饒舌な葵が詳しく話してくれた。
「彼女は俺の婚約者で、星野グループの一人娘だ」
「本当ならあんな鬱陶しい女と結婚なんかしたくないが、
財閥に必要だから仕方ないと割り切っている」