椿ノ華



思わず目を泳がせる。


「…綺麗な肌だね」


するりと、頬を壱の指先が撫でる。


「…あ、あの…」

「壱」


凛とした低い声。


「ああ、葵。久し振りだね」

「…そうだな」

「今ね、椿さんとお話してたんだ。君の妹なんだろ?」

「…ああ。だが、

話をしていただけにしては距離が近かったと思うが」

「ん?何、葵、やきもち?」


くすりと不敵な笑みを浮かべる壱。



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