椿ノ華



「…あ、私お邪魔ですよね。失礼します」


慌てて立ち去ろうとした時―


「待て」


何処か縋るような声に、振り返った。


「いい。居ろ」


言葉少なだったが、何故か嬉しくて。


「…はい」


微笑んで、近くのソファに腰掛けた。


「椿お嬢様、葵お坊ちゃま。紅茶でございます」



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