椿ノ華
「だって、お兄様は三年で高校も大学も卒業したんでしょう?」
「それは、小さい頃からそういう教育を受けていたからだ」
…あ…
「お友達と遊んだり、とか…」
「した記憶が無いな。両親と遊んだ記憶も無いが」
「ずっとお勉強、ですか?」
「ああ。俺は小さい頃から、将来が決まっていたからな。
南十字のトップに立つに相応しい人間となる為の教育を受けていた」
「習い事とか…?」
「そうだな。英会話もバイオリンもピアノも、
思い付く限りのものには手を付けている」
…寂しかったんだろうな。