私と彼女の関係
美幸は相当ショックだった様子で、
黙ってしまった。
この時の沈黙ほど、しんどいものは無かった。
電話越しに聞こえる雨の音。
さっきまで、こっちで降ってた雨も、
今は彼女の土地で雨を降らしている。
酷い通り雨だ。
夏が終わり、残った雨が秋を迎える。
雨は泣き終わるまで、進むしかない。
涙が枯れるまで、無き続けないと、
彼女達は決して晴れることはない。

セフレであろうと、美幸は真二が好きだった。
彼を信じていたのだろう。
それが最近、連絡も取れなくなって、
知らなかった事実まで、
耳にしてしまったのだ。

酷く後悔した。
私は我を忘れていた。
落ち着いて考えれば、
美幸の耳にいれなくてもいい、真実だったのかもしれない。
彼女は真二が好きだ。
それで良かった。
このまま、連絡が取れなったら、
彼女は忘れて行く事が出来たかも知れない。
まだ若い。
何度だって恋愛なんて、出来た。

「ごめん美幸…。
 ぅちぃらんこと言ったなぁ…」

少し間を置いて、美幸が口を開いた。

「ぅぅん。大丈夫…。
 教えてくれて有難う。
 ぅちきっぱり諦めるわ。
 連絡取れんくなって、
 オカシイと思っててん…。
 めっちゃ引きずっててんけど、
 もぅ辞めるゎぁ…」

煮え切らない彼女の思いが
痛いほど伝わってきた。
それでも、
美幸の本心の言葉では無い事には、気づいていた。
彼女は吹っ切ると言っても、
まだ真二を信じる心は残ってる…。
時間はかかるだろう。
でも、私には何もしてあげられない。
そのまま、電話を静かに切った。
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