こいわずらい。
 
それ以来、あたしは彼のことを変に意識してしまって。

友だちに「好きな人いる?」なんて聞かれたときは、なんとなく彼のことを思い浮べたものだ。

けれどその後はこれといって会話もなく、卒業と同時に遠くの町に引っ越したそうで、今どこで何をしているかは分からない。





記念撮影を終えての帰り道。

あたしの横で卒業証書を入れた筒で遊んでいる拓馬に気になっていたことを聞いてみた。


「ねぇ拓馬、学校の机って、壊れるまで使うよね?」

「うん、たぶん」

「じゃあ、前に使ってた人の落書きも残ってたりするの?」

「けっこうね。僕の机には“たっくんがすき”って残ってて、前にそれでからかわれた」
 

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