こいわずらい。
少しムッとした表情になった拓馬とは反対に、あたしはそれを聞いてハッと息を呑んだ。
そうだ、あたし…。
あの頃は“恋”なんてほとんど理解もしていなかったけれど、それでも彼がすごく気になって。
だから、たぶんこれが恋なのだろうと、机に落書きをしたのだ。
『たっくんがすき』
今なら分かる。
あれがあたしの初恋だ。
その後。
実家に帰るたび、あたしは小学校の卒業アルバムをこっそりと開いては、幼き日の彼に今の彼の姿を重ね見るのが癖になった。
どんな大人になっただろうか、そしてあたしは、今もあの初恋の中にいるのだろうか。
こんなことをしているなんて、今の彼氏には到底言えない―…。

