明日ここにいる君へ





「……ん…?」

ぱちり。…と目が覚めて。




「……ぎゃっ!」


私は思わず…叫んだ。




すぐ目の前に…悠仁の顔。



おまけに、なんてことだろう…。



彼の腕が…枕がわりになって私の首の下へと置かれている。



「……えっ?」



体が動かせない。



それも……そのハズ。



なぜなら、悠仁の足が私の体に絡んで…がんじがらめにしているから。





「……。一体何が…。」



慌てて布団の中に潜りこみ…状況の把握に努めようとするが、



途端に…

ガバッ。と布団が外される。





「………。おはよう。」



「『おはよう』ってか…、近っ!」


まだ眠そうな瞳で、悠仁は私をじいっと見つめていた。



「………。」



「あの…一体何がどうなってこうなってるの?」



「………さあ…?ん。何が?」


彼は髪をわしゃっとかきあげて…呑気に欠伸。

「いやいやいやいや、だから、なぜ、私が、今ココに」




「んん?ああ、こっちは熟睡、そっちは…お昼寝…目覚めて互いにスッキリ!…以上、問題が?」

「問題だらけ…」

「ってか、お前プニプニしてて…抱き心地最高。あ、わかった!枕がわりだ!」



ぎゅううっと、彼の胸元へと顔が押し付けられて抱きしめられたかと思ったら、次の瞬間には……



「…うん、ぷにっぷに。」


二の腕の肉を摘んでは、満足そうに微笑んだ。




「…………。あれ?枕になってたのは悠仁の腕の方じゃ…」




なすすべなく、されるがままの私に…



「……こえーな、抵抗しねーの?」



やんちゃな瞳を覗かせる。



「……………。」



私は悠仁の胸に耳を当てたまま。




トクン、トクン…と彼の心音が、


さっきよりも幾分か……速かった。




「…アンタでも緊張するんだね。」



ひとつ、意地悪を言ってみる。



「ベッドの中に若い男女が二人きり。ドキドキしなきゃそれは男じゃない。」



「………。あ、そう。」


つまりは相手は誰でも同じって事?

意地悪、倍返し……。



この人に口では敵わないのか。



「………悠仁。もっとドキドキさせよっか?」



「ん。何してくれるの?」




少しくらい焦ろよ、馬鹿……。



アンタが動揺する顔、見てみたくなるじゃん。




自分の中に、こんなサディスティックな衝動があるなんて……驚きだ。



友達とこんな風に触れ合うこと自体、不自然で有り得ないことだろうけど……



なぜだろう。



このまま時が止まればいいと…願ってしまう。

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