明日ここにいる君へ
試合は…その一点を守りきった、地元チームの勝利で…幕を閉じた。
スタジアムを出て、外周を…手を繋いで歩く。
流れる…観客。
そのペースよりやや遅れをとるようにして…ゆっくり、ゆっくり、歩いていく。
露店のオレンジの灯りが…どこまでも続いていて。
夏祭りを連想させるように、賑やかさを…演出する。
勝利でしめた夜は、今宵サポーター達を大いに笑顔にして――…。
「商売繁盛だね。」
「……気にするとこはそこか。」
冷静に分析する私に…、悠仁の素早い突っ込みが入った。
「……もうすぐ…夏休みだろ。」
「……うん。」
公園内の木から…、セミの声。
帰り道は…まるで、夏の終わりみたいに。名残惜しいとさえ…思った。
「インハイ予選も県止まりだったし、これからまた…秋季リーグ選とウィンターカップに向けて、忙しくなるから…」
「……うん。」
「今日は…、充電。」
そんな甘い言葉を平然と言ってしまう君が、本当はどんな顔しているのか…見たくもなる。
今が夜じゃあなかったら。それは…叶ったのだろうか?
多分…今夜は。
君も…全く同じことを思っているのだろう。
いくらも高い視線を、何度も私の顔を覗きこむようにして。合わせて…くれるのだから。