明日ここにいる君へ
春雨が……シトシトと降り続ける。
薄暗い教室に、
眩しい…、蛍光灯の光。
食欲旺盛なシンと……。
よく寝る…悠仁。
見慣れた光景。
穏やかに時間が過ぎる…昼下がり。
「七世。アンタの髪…ほわほわしてる。」
「湿気あるとどうしてもおさまりつかないんだよね。」
「ふ~ん。後で髪結ってあげようか?」
「うん、お願いしたい。自分じゃ…できないし。」
「任せとけ。」
シンは口をもごもごさせながら……
ニヤリと笑った。
「……しかし…、悠仁様はよく寝るねぇ。」
出た!
午後イチの…戯言。
「寝るコは育つって言うじゃない。いいんじゃないの?」
「七世は……、わかってない!女ゴコロというものを…。一瞬でも目が合った時に生まれるトキメキ……!目の保養という醍醐味を!つまり、目を閉じられたらできないっていう話。」
「へぇ……。」
「相変わらずクールだなぁ、七世って全然浮いた話ないけど…好きな人とかいないの?…イヤ、いたらもうちょっと…、身なりに気をつけるか。」
「あ。ひど~い。」
こういう女子トークは…苦手。
彼女らのいうトキメキというものが……
イマイチまだ、わかっていないから。
こうしている間も……。
悠仁は、気持ち良さそうに……
寝息をたてている。
あーあ、幸せそうな顔しちゃって。
つい……、
くすっと笑うと。
「…?何…?何か面白いものでもあるの?」
すかさずシンが、私の視線を追う。
「ううん。ただちょっと…無防備だなって。」
私は、徐に…悠仁を指さした。
「そう言われると……。悠仁様なら例えヨダレ垂らして寝てても…許せるな。顔のいい男は違うね。」
「……ははっ確かに。」
「……え。」
「ん?」
「…何でもないっ。」
彼女はふるふると首を振って……
再び、弁当のおかずをつまんだ。