明日ここにいる君へ
何故、そんなことに気づくのか…、というと……。
「……なーなせちゃん、何見てんの~?次、音楽ですけど。」
「…………。」
「……窓際一直線。一体『何を』見てるんだって言うんでしょうネ。」
……エエ。
シンさんの言う通りにございます。
私はホント何を見てると言うのでしょう。
「……気になる?悠仁サマ。」
「……!!まさか!シンが毎日戯言言うから…つられて観察癖ついただけ!ホラ。早く行こ。」
私は直ぐさま視線を逸らして、席を立ち上がった。
「………?」
悠仁はなおも机に頬杖ついて…ぼうっと一点を見つめている。
移動教室なのに……、
まさか気づいてない?
「……シン。」
「ん?」
「あの人に声掛けてきてあげなよ。」
「ええっ、私が?!ダメダメ、緊張するし。てか、何で自分で行かないの?」
何でって……。
学校で親しげにしたら…
周囲に驚かれてしまうでしょう?
私たちは全くもって。
関わりなど…なかったんだから。
「…………。」
なのに……
私、やっぱり変だ。
「……。シン、先に行ってて。」
「……。うん。」
教室に…誰もいなくなるのを確認して。
彼に……
近づいていく。