虹色センテンス

過去の想い出は蜜柑色

「なぁ、儚空!!ラケットベースがいいよな!!!?」

「え??」

今でも鮮明に覚えていること。
それは雄太と初めて会話した日。
7月8日。
その日は学級活動でレクレーションで何をするかで男子同士討論していた。
選択肢は、
『キックベース』『ポートボール』そして『ラケットベース』
そして今では過去進行形で雄太に問い詰められていた。

「なぁ!!どっち?どっち?!?」

『キックベース』と『ラケットベース』が投票により今同点。
どうやらアタシの意見で決まるらしい。

「え…じゃ、じゃあ…ラケットベ『おっしゃー!!!!!!!!!』
男子の歓声が上がる。中にはブーイングする人たちも。

「うわぁぁぁぁぁ!!やった!!ラケベだー!!!」

雄太はかなり喜んでいた。
どっちも野球みたいなものじゃないか。アホだな、男子。

「儚空!!」

それから毎回雄太はアタシの事を「儚空」と呼ぶようになって、休み時間も一緒に過ごすようになった。
流石にまだ4年という事もあって冷かし等は記憶にない。
皆も「親友同士」ぐらいにしか思っていなかったと思うし。

井上と同時に雄太まで恋焦がれてしまったアタシは、ある事実を知った。
その当時仲良くしていた子と井上が両想いであったこと。
それにはショックもあって驚きもあった。

それからあんまり井上とは話さなくなった。
そりゃあ自分だって友達と話すよりも好きな人と話す方が楽しいし、嬉しいに決まってる。
アタシって中々良い奴だったな←ナルシスト

夏。

近所の祭に雄太を誘ってみた。返事は勿論「行く!!」だった。
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