鈍感ガールと偽王子
あたしが思い出すのを待つのはやめたらしい。
椎葉くんは、はあ、とため息を吐きつつ説明してくれた。
「そんで、美結以外はもう一軒行くとか言ってて。そんときのお前、そんなに酔った感じには見えなかったから多分お前の友達もお前ひとりで帰らせたんだろうけど」
「…けど?」
「バイバーイ、なんて友達見送った途端、美結、俺に絡みついてきたんだよ」
「か、絡っ…!?」
そんな酒癖悪いなんて自覚は無い。
大抵、ある程度飲むと眠くなるだけで。
昨日は何故かその眠気がやってこないから、すごい飲んじゃったんだよね…。
「う、嘘!!あたしそんなことしないもん!!」
「嘘吐いてどうすんだよ。それで全然離してくんねえから、結局家まで連れてきちまったってわけ」
い、家…?
「こ、ここ、椎葉くんちなの…?」
「今気付いたのかよ。どう見てもホテルじゃねえだろ。…ていうか俺今日1限なんだよね。とりあえず風呂行ってくる」