鈍感ガールと偽王子
「じゃ、じゃあ、着替えとか、取ってくるね」
「そんなんいいよ」
立ち上がりかけた美結の手を掴む。
美結は驚いたように俺を見ていた。
「もう10時すぎてるし。わざわざ寒いだろ、外出んの。着替えなら適当に貸すから」
「え…」
それを聞いて、美結は何故か悲しそうな顔をした。
……なんだよ。
「なんか変なこと勘ぐってねぇよな?」
「別に…」
いやいや、さっきと明らかにテンション違うだろ!?
「…着替え貸すって、女物じゃなくて…。俺のだぞ?」
「……え?」
ぱぁ、と明るい表情に一変。
……分かりやすい奴…。
「スウェットでいいだろ?」
「いい!!」
すとん、と再び俺の隣に座って。
嬉しそうに、笑う。
「……」
気付いたら、口元を手で覆っていた。
なんだよその顔。
……反則だろ。
……うわー。
大丈夫かな俺。
なんもしないとか、約束したけど。