鈍感ガールと偽王子
別に、大事に大事に取っておいたわけじゃないけど…。
やっぱり、それなりに夢見た初体験っていうのがあったわけで。
それはどうしたって本当に好きな人とっていうのが大前提なわけで。
顔がいいとか人気者だとか、そんなものは全然いらなかった。
「うぇーん…」
「なにいきなり泣いてんだよ…。そんなに、嫌だった…?」
椎葉くんは焦ったような口調で言って、あたしから身体を離した。
「あ、当たり前でしょ…って、あれ?」
ちょ、ちょっと待って、椎葉くん全然全裸じゃないじゃん!!
パンツどころか、普通にジーンズ履いてるんですけど!!
焦ったあたし、馬鹿なの…?
今まで強制的に視線を逸らしていたから気付かなかった。
「え、…え?」
「悪かったよ。ていうか、昨日ヤったっていうのも冗談だし…」
「はあああ!?」
ど、どれだけ人が凹んだと思って…っ!
……え、待って。
じゃあ。