鈍感ガールと偽王子


「美結…」



椎葉くんの細くて長い指が、あたしの頬に触れた。


びくりと身体が竦み、恥ずかしくなって俯く。



「や、やめて」


「顔上げろよ」



イラついたような声。


あたしは彼の声に逆らって俯いたまま、身体に巻きつけるように掻き合わせた布団を強く握りしめた。



やだやだやだ!!


なんであたしがこんな目にあわなきゃなんないの?


大体、いくらすがられたって言ったって、普通酔った女の子を抱いたりする!?


世の中の普通がどうなのかなんて知らないけど、あたしはそんな男絶対イヤ!


いくら顔が良くたって、こんな奴があたしのハジメテの相手だなんて…。


 
絶対信じたくない…!




「……うぅー…」



「え、ちょ、美結!?」


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