鈍感ガールと偽王子
そうだ、寝る前にシャワーを浴びたとき…。
あの時は頭痛がひどくて適当に身体洗っちゃったから気にも留めてなかったけど、そういえば。
あたしは、部屋着のパーカのファスナーを下ろした。
胸元が大きくはだけ、中に着たキャミソールがあらわになる。
「……やっぱり」
鏡に映ったあたしの胸元にも、首元にあったのと同じような赤いあとがいくつか散っていた。
え、ていうかまさか他にもあるの!?
あたしはいてもたってもいられなくなって、下着姿で鏡の前に立つ。
「……なに、これ…」
なんでシャワー浴びたときに気付かなかったんだ、という数だった。
鏡に映った上半身は胸元に。
自分で確かめられる限り、鏡に映らない腰から下は内腿に、赤いあとがつけられていた。
「どうして…」
あたしは半ば呆然としたまま、ゆっくりと脱いだ服を着なおした。