鈍感ガールと偽王子
部屋に戻り、腰を下ろす。
テーブルの上に置かれた紙が目に入って、二つ折りにされたそれを手に取り、広げて見ると確かに電話番号とメールアドレスが書かれていて、その下には椎葉くんの名前があった。
「……うん。やっぱ電話で」
どうしてこんなたくさんのあとを付けるような真似をしたのかは分からないが、連絡しないと沙奈に怒られるし。
メールだと、たぶんいつまでたっても文面に不安になって送れないから。
とりあえず、直接昨日のお礼を言うってことで。
携帯で時間を確認すると、もう18時を回っていた。
……あたし、どんだけ寝てたの?
一瞬自分にあきれたが、まあこの時間ならとりあえず講義とかは入ってないだろうし、掛けても大丈夫かな。
「……よっし」
あたしは自分で気合いを入れ、ひとつひとつ確かめながら番号を押した。