鈍感ガールと偽王子


『……美結』


「はい」


『…確かに風呂から出て美結がいなかったのには驚いたけど、別に怒ってない』


「……え?」



そうなの!?


なら、なんで連絡しろなんて…。



『俺は、美結とこれっきりにしたくなかったから、連絡してほしいって言ったんだ』


「へ…?」


『いや、……あー、なんつうか、その。…美結は、俺が学校でどんなふうに振る舞ってるか、知ってる?』



何、突然。



「…ううん。たまに見かけるくらいで」


『じゃ、俺が王子なんて呼ばれてるのは?』


「それは知ってる」


『……俺のキャラ、王子だと思うか?』


「……」


『だよな』



携帯の向こうで、椎葉くんが苦笑したのが分かった。

 
でも、言われてみれば確かに見た目は王子だけど中身は全然違うよね?

 
噂では、物腰の柔らかい優しい王子、だけど。


少なくとも、私が見た限りはそんな感じじゃない。


柔らかい、っていう印象は無かった。


< 38 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop